売買契約書を見てみる

第三者間での売買の場合には、原則的に売買契約書に記載された金額をもって取得価額とすることになります。

 

ただし、土地と建物の比率が明らかに不適当だと認められる場合には、修正の対象となる可能性があるため、必ず妥当性の確認は行いましょう。

 

また、売買契約書に土地建物の代金総額のみが記載されており、それぞれの金額が分からないこともあります。
 
そのような場合には、何かしらの合理的な指標により土地と建物の金額を按分し直す必要があります。
 

按分方法の具体例

区分の方法としては、下記のようなものが考えられます。

● 固定資産評価額の比率により按分

● 建物の標準的な建築価額表により建物の価額を計算

● 消費税額から建物の価額を逆算

● 土地の取得価額を相続税評価額から計算

● 不動産鑑定士に依頼

 

固定資産評価額の比率により按分

客観性が担保されており、かつ、按分計算も容易にできるため、実務上はこの方法で按分することが多いです。
 
【計算例】
売買契約書の対価 1億円
固定資産税評価額 土地4,000万円 建物1,000万円 (∴合計5000万円)
 
土地の取得価額 1億円 × 4,000万円 ÷ 5,000万円 = 8,000万円
 
建物の取得価額 1億円 × 1,000万円 ÷ 5,000万円 = 2,000万円
 
さて、固定資産税評価額による按分計算は一見非の打ち所がない方法のように思えますが、そうとも言えません。仮に建物が建築から長い期間を経過している場合、建物の固定資産評価額が相当低くなっていることがあるからです。
 
 
 

建物の標準的な建築価額表により建物の価額を計算

 
建物の建築にかかったであろう金額を元に建物の取得価額を確定させ、差額を土地の取得価額とする方法です。
計算結果が売買価額の総額よりも大きくなるなど使用できないケースも多い方法となります。

【計算例】
売買契約書の対価 5,000万円
昭和55年建築の建物 床面積100㎡ 木造
 
建物の取得価額 = 92,500円 × 100㎡ = 925万円
土地の取得価額 = 5,000万円 - 925万円 = 4,075万円 
 
※本来は建物について新築時から購入時までの減価償却費の計算が必要です。
 
 
 

消費税額から建物の価額を逆算

 
土地の売買については消費税が非課税である一方、建物には課税されることを利用して建物の取得価額を算出する方法となります。
当然ですが、売買契約書に消費税の金額が記載されているケースのみ採用できる方法となります。
 
【計算例】
売買契約書の対価 5,000万円(うち消費税80万円)
 
建物の取得価額 = 80万円 ÷ 8% = 1,000万円
土地の取得価額 = 5,000万円 - 1,000万円 = 4,000万円 
 
 
 

土地の取得価額を相続税評価額から計算

 
土地の取得価額を相続税評価額をベースに算出し、差額により建物の取得価額を算出する方法です。
 
相続税評価額は公示価額の約8割となっていますので、「相続税評価額 ÷ 80%」という算式により土地の取得価額を計算します。
 
【計算例】
売買契約書の対価 7,000万円 
土地の相続税評価額 4,000万円
 
土地の取得価額 = 4,000万円 ÷ 80% = 5,000万円
建物の取得価額 = 7,000万円 - 5,000万円 = 2,000万円
 
 
 

不動産鑑定士に依頼

専門家による客観的な金額が算出されますので、最もリスクは少なくなります。
 
ただし、それ相応のコストは覚悟する必要があります。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事