所要運転資金は短期借入で賄う①手形貸付を利用する

前回は所要運転資金はビジネスを回すうえで常に返ってこないお金であることを説明しました。
 
これを借入で填補しなければ、多くの場合会社の資金はショートしますので、多くの企業は融資を受けているわけですが、その借り方にはコツがあります。
 
多くの企業は以下のような条件で所要運転資金を補填する資金を借りていることでしょう。
 
≪融資の代表例≫
 ● 融資額 1000万円(証書貸付)
 ● 返済期間 5年(毎月返済)
 ● 保証協会付
 ● 代表者保証付
 ● 金利1.2%(変動金利)
 
この条件を見てどのような感想を持たれましたでしょうか。
 
実に一般的であり、ご自身の会社でも似たような要件で融資を受けているのではないでしょうか。
 
これが大きな間違いであり、会社の資金繰りを悪化させる要因の1つなのです。
 
では、この借入条件のどこが問題なのでしょうか?
 
この借入条件についてチェックすべき項目は幾つもありますが、ここではます「返済方法」にターゲットを絞ってみます。
 
繰り返しになりますが、所要運転資金とは返ってこないお金です。
 
これに対してこの借入条件では毎月元本を返済し続けなければいけません。
 
これでは資金繰りが改善されないもの当然のことです。
 
ではどうすれば資金繰りが改善されるでしょうか。
 
答えは非常にシンプルで、
 
返済しなければいいのです。
 
借入金は負債であり、返済しないなんてことはできない。詭弁だ。という感想をお持ちになったかもしれません。しかし、実際に返済しない借り方というものが存在します。
 
具体的には、「短期借入(手形貸付)にて融資を受け、返済期限が到来したら再度借りる」を継続していく、というものです。
 
手形貸付とは、借入用の手形を銀行に差し入れることにより融資を受ける方法の事で、1年以内の短期融資に用いられます。
 
その特徴として期日一括返済が挙げられます。期日一括返済とは元金一括返済とも呼ばれ、借入期間の最終支払日に元金を一括して返済する方法のことをいいます。つまり、借入期間中は利息のみ支払っていればよく、元金の返済が無いという特徴があります。
 
従来、所要運転資金に対する融資は手形貸付や当座貸越(次項で詳述します)といった短期融資によって行われ、中小企業の資金繰りを支えてきました。
 
手形貸付は通常返済期限が到来しても再貸出が行われるため企業は金利だけ負担していれば半永続的に返済する必要のない資金となっていたのです。
 
ところが、近年では手形貸付による融資は減少傾向にあります。銀行再度から提示される融資条件の殆どが証書貸付による毎月返済であるため、手形貸付による短期返済という方法を知らない、という経営者が多いのも仕方のないことなのかもしれません。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事