融資の必要性その3 「所要」運転資金の確保
融資の世界には「所要運転資金」という言葉があります。金融機関では正常運転資金や経常運転資金と呼んだりもします。
聞きなれない言葉だと思いますが、非常に大切な考え方ですのでここでしっかりと覚えて下さい。
所要運転資金とは一言で表すならば、「常に回収されない資金」の事を言い、次の算式により求められます。
所要運転資金=売掛債権+在庫-仕入債務
売掛債権:売掛金、受取手形
仕入債務:買掛金、支払手形
売掛債権:売掛金、受取手形
仕入債務:買掛金、支払手形
下記の例でビジネスを回すために必要な資金を考えてみましょう。
● 1ヶ月の売上 100万円
● 売掛金の回収サイト 2ヶ月
● 1ヶ月の仕入 50万円
● 買掛金支払いサイト 1ヶ月
売掛金の回収に2ヶ月かかりますから、在庫は常に2か月分用意しておく必要があります。
つまり、2ヶ月分の売掛金と在庫代金(売掛金100万円×2ヶ月+在庫50万円×2ヶ月=300万円)が必要です。
一方で、買掛金は支払が1カ月猶予されていますので必要資金からマイナスします。
よって、この会社がビジネスを回すには300万円-50万円=250万円が必要だという事が分かりました。
この資金を「所要運転資金」と言います。
この会社が経営を続けている限り、「回収できていない売掛金」と「手元の在庫」の合計から「支払っていない買掛金」を差し引いた金額は回収されず、常に会社が立て替えている状態となります。
この回収されない資金に対して融資を受けることにより、会社の資金繰りを改善することができます。